DSC02484 (1024x768)10年来の友人である下館和巳教授(シェイクスピアカンパニー主宰)の主宰ブログに私が登場しました。2014年3月2日付のエッセイです。

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 これは、『新ロミオとジュリエット』の中で、またぎ(ロレンス神父)が露未緒(ロミオ)に言う原作にはないセリフだ。いつどこからこのセリフが生まれたのだろう?と考えてみた。というのは、間さえはずさなければ、このセリフに確実に観客が笑ったからだ。カンパニーのセリフの中では群を抜いて哲学的でわかりにくいセリフなのにである。それに、これだけは東北弁ではなかった。

 備忘録をたどる。2012年6月23日「ダンテ『神曲』を読む会」で、読書会のメンバーの方が教えてくれたとある。なぜ教えてくれたのか?「地獄篇」を読みながら、10年前に暮らしていたケンブリッジ以来のおつきあいをさせていただいている慶應大学理工学部の足立教授との談話のことを、みなさんにお話したからである。

 備忘録は、ぼんやりとした記憶を照らす明かりになる。6月1日に!!!マークが三つ・・・なんだろう?あっ、これは、私の備忘録が足立教授の備忘録に嫉妬した証拠である。物理情報工学科大学院の足立ゼミで講演をさせていただいた後に、確か私は自分の備忘録の自慢をした。すると、足立教授がさり気なく「実は私も・・・」と見せてくれたのは、私の備忘録など宇宙の果てに吹っ飛んでしまうような量の情報がびっしりと書き込まれた足立備忘録だった。私は、そのことの詳細を自分の備忘録の気持ちを察して、記してはいない。ビックリマークだけだ。(そう言えば、あれから、私はあまり備忘録の自慢をしなくなったような気がする。)ともかくその後に、秘書の方(見事な飲みっぷりの!)と若い助教の方を交えた四人で乾杯をした。いい気持ちになってきた頃、私は「気づき」の話をし始めた。「気づくのには時間がかかるのだけれども、ジワっとではなくある瞬間にハッと気づくんですよね」と言うと、元湘南ボーイ足立教授の可愛い瞳がキラリと輝いて、こう語ったのだ。「そうなんです(ジョッキを指して)ビールがグラス8分になってもダメ、いっぱいでもダメ、この縁からこぼれた瞬間に、初めて気づくんです」。

 目のウロコが、もしコンタクトレンズのようなものであれば、その時目から外れてひらひらと私の手元のビールの泡の上に落ちた。