大手電機メーカの研究所を訪問しました。この研究所と物理情報工学科と共催の第二回ワークショップが開かれ,物理情報工学科から4名の教員が講演し,私も制御に関する講演をしてきました。同僚の講演を聴く機会というのはほとんどなく,初めて小池教授(プラスティック光ファイバ)の講演を聴きました。さすが超一流の研究者だというご発表でした。
さて,どの企業においても「システム制御」というのは弱い立場です。「ものづくり」が強調される企業の現場では,ハードウェア信仰が強く,それを支える(広い意味での)ソフトウェアは軽視されがちです。システムや制御,最適化,計測など,数理的な技術がなければ,ハードウェアが動かないのだということを忘れがちです。特に,制御は空気や水のような存在で,あることが当たり前だと思われています。一昔前,水や安全はタダだと思っていた日本人に似ています。西洋諸国からみると20年くらい遅れています。
訪れた企業では,佐野研究室の後輩が宇宙の分野における制御応用で活躍しており,嬉しく思いました。企業においては,どの部署でも制御に関する課題を抱えていると思います。それらを解決できるような部署が大企業であったら社内にあってもよいなと,いろいろな企業を訪れるたびにいつも思っています。
不況な時代こそ『制御』の出番だと私は信じています。