東工大の早川朋久准教授に足立研セミナーで講演していただきました。

講演題目は 「近代確率・確率過程論の基礎とポアソン過程によるグラフ上の拡散現象の理解」 でした。理工系の学部では体系的に学ぶことがない「ルベーグ積分」, 「確率空間」,「σ加法族」,「確率測度」,「マルチンゲール」,「ブラウン運動とウィナー過程」,「伊藤積分」などについて丁寧に解説してくださいました。早川先生,ご講演,ありがとうございました。

私が学生だった30年くらい前にはこれらの概念を理解しておかなければ,システム同定や状態推定などといった確率システムのセッションでは学会発表できないような怖い雰囲気があったのですが,制御の世界では1980年代後半に,確率的な(stochastic)世界から確定的な(deterministic)な世界へ大きく舵を切りました。しかし,計測自動制御学会誌 「計測と制御」の11月号が,「特集 確率システム制御 – 基礎理論,アプローチ,そして新展開– 」 であることからもわかるように,「確率」は再び制御における重要なキーワードになってきました。