宇都宮大学足立研ドクター第1号の佐野 久さん(HONDA,米国在住)からオハイオ通信が届きました。
佐野さんは今年9月に大阪で開催される国際会議 “inter-noise 2011” で下記の Keynote lecture を行う予定です。
Dr. Hisashi Sano
Chief Engineer/Senior Chief Advisor, Honda R&D Americas, Inc.
“Modern Advancements in Passive and Active Noise & Vibration Control Technology in Automobiles”
—————— 以下,佐野さんからの投稿です —————–
ドライブ編とフリージングレインについてまとめました。
■ドライブ編
皆さんご存じのようにアメリカのフリーウェイは無料。
あちこちにすぐ出かけることができる。
必要なのはガソリン代だけ。これも日本よりずっと安い。
以前より高くなったとは言え、1ガロンは約$3。83円/$で換算すると66円/Liter。
長距離ドライブであってもクルージングコントロールをオンにすれば、ひたすら巡航するだけ。
日本のように渋滞もないから疲労が少ない。
ただし居眠り運転は要注意。
高速の制限速度は65mph~70mph。
Ohio州は65mph、Indiana州は70mphなど州ごとに異なる。
スピード超過に関しては、+5mphまでは安全マージンと言われているので、
70mph~75mph(120km/h前後)でクルージング。
しかしパトカーには要注意。日本よりもパトカーが多い。
65mph制限の場合、73mphを越えると捕まる可能性大。
日本のように140km/hで追い越していくクルマは皆無。
それはすぐに捕まるから。
また、州境を越えて制限速度が70mphから65mphに変わったときも要注意。
州境を越えて減速することを忘れているクルマをねらっているパトカーがいる。
以下、シカゴ、ワシントンDC、ナイアガラの滝を写真とともに紹介。
(1) シカゴ
コロンバスからシカゴまで約600km。所要時間は片道6時間。
シカゴの往復はシカゴを聞きながら(世代がばれる?)走る。
Hard to say I’m sorry, You’re the Inspirationを歌えば眠気が吹っ飛ぶ?
シカゴ市内に入ると高速の間に鉄道も並走。ちょっと大阪市内に似ている。
写真はシカゴ美術館前から見たビルディングと、高速道路から見たシカゴダウンタウンへの進入風景
(2) ワシントンDC
コロンバスからワシントンDCまで約700km。所要時間は片道7時間。
・市内の印象
ワシントンDCはアメリカの霞が関。でもビルや道路の印象は大手町のオフィス街。
ニューヨークや銀座と違って、お店でにぎわうような華やかさはない。
ポトマック川を挟んで対岸のアーリントンは緑が多い。住宅地もこの緑の中にある。
川が州境になっていてアーリントンはバージニア州。
ホテルはアーリントンの地下鉄Rosslyn駅の近くにあるKey Bridge Marriottに宿泊。
ワシントンDCにあるホテルは割高で、アーリントンのホテルが安くて便利であることを
USスタッフが事前に教えてくれた。
ワシントンDCの中心部へは地下鉄の駅でたったの2つ目。
川で遮られているとはいえ、東京ではありえない。
東西線の大手町から西船橋方面に向かうと、
隅田川の下をくぐって2つ目の門前仲町に着く。
この門前仲町が緑で囲まれた住宅地のようなものである。
写真はご存じ、ホワイトハウスとキャピトルヒル。
(3) ナイアガラの滝
コロンバスからナイアガラの滝まで約560km。所要時間は片道5.5時間。
到着後、霧の乙女号という観光船を目指す。
窓口で切符を買い、約30分並ぶ。
観光客の6割がアラブ人。3割アメリカ人、1割中国人。日本人は見かけなかった。
アラブ人はマナーが悪い。割り込み平気。
中国人と同じ。
待っている間に雨が降ってきたのかと思うとそれは滝しぶき。
エリー湖の水はナイアガラ川になってオンタリオ湖へ流れ出る。
このナイアガラ川の途中にある大段差がナイアガラの滝。
ナイアガラ川はアメリカとカナダの国境になっていて、対岸はカナダ。
滝は2つあって、アメリカ側をアメリカ滝、カナダ側をカナダ滝という。
滝はすごい迫力。一度は見る価値ある。
アメリカ滝もすごいが、カナダ滝はさらに迫力がある。
日本で形成された滝のイメージと全く違う。
もはや滝のイメージではない。なんという豪快さ。
自然の力はすごい。
難点は水が濁っていること。
ナイアガラ川の水は濁っていて透明度がない。
土の色?プランクトンの色?
エリー湖は山奥の湖と違うからしょうがないか。
したがって、ナイアガラの滝の水も透明度がない。
臭くはないがきれいとは思えない。
豪快なしぶきが飛んでくるが、日本の山中の滝と違ってすがすがしさがない。
これってきれいな水なんだっけ?
アメリカもコロラド州に行けばきれいな滝があるに違いない。
霧の乙女号に乗ると、
アメリカ滝とカナダ滝の滝壺付近を航行してくれるので、
両方の滝を下から鑑賞できる。
しぶきがものすごいので、水色のポンチョ(カッパ)が事前に配られ、これを皆着用する。
これがないとびしょびしょ。
防水靴も必須。
<まとめ>
○ 大迫力。日本では見られない滝。
× 清流ではない。山中の滝と違って情緒にかける。
一度見たらもう満足。でも一度は見る価値有り。
2枚の写真は霧の乙女号から見た滝とアメリカ側から見た滝。
■フリージングレイン(Freezing rain)
フリージングレインとは?
こちらに来るまで全く知らず、その怖さも初体験。
2/2はこの雨が原因で会社が休みに。
怖い雨である。
雨が地面やクルマに着いたとたんに氷に変わる。
したがって、地面は氷でつるつる、クルマは氷で覆われる。
フリーウェイは皆ゆっくり走行。
いったん滑るとコントロールを失いレーンを逸脱して動けなくなりスタック。
一方、木の枝は氷がついてとても美しい。
しかし、これがやっかいもので、氷の重さで木が倒れ、電柱を倒して停電に。
また、電線についた氷の重みで、断線で停電に。
実際、私の住んでいる付近でも停電世帯が多く発生。
幸い、私が住んでいる場所は電線を地下に通していたので、問題なし。
でも瞬間停電がたびたびあってヒヤリ。
インターネットでフリージングレインを検索。
・日本でもまれにある
アメリカは一年に一度はあって、去年がたまたまラッキーで遭遇しなかっただけ。
・なぜ起きるか?
「過冷却」がキーワード。
雲から雪が落ちて、途中で雨になり、
それがさらに地表近くの冷気で雨が冷やされ、過冷却状態になった雨が原因。
過冷却状態の雨は、物体にぶつかった瞬間、外部エネルギーにより氷になる。
したがって、冷暖冷という3層の空気層の存在によって生じる。
この気象状態は局地的。
アメリカはこの気象状態が生じやすい。
写真はフリージングレインが降っているときの樹木と
フリージングレイン内を走行して帰宅したときのマイカー。
(なんと車庫は家の中にある!冬は非常に助かる)