拙著「制御工学の基礎」には6個のコラムを掲載しましたが,紙面の都合で,掲載できなかったコラムがいくつかあります。それらをこれから紹介していきましょう。
【3章のコラム】 ニュートン(Isaac Newton)(1642 ~ 1727)
物理システムのダイナミクスを微分方程式で記述した最初の人はニュートンだった。彼は,微分積分学に基づくニュートン力学を確立し,近代科学を礎を築いた。
ニュートンは,ガリレオが亡くなった前年(1642年)に,イングランドのリンカーンシャー州で生まれ,1661年にケンブリッジ大学のトリニティコレッジに入学した。
ケンブリッジ大学において,1663年に開設されたルーカス数学講座の初代教授に就任したバローが,ニュートンの才能を高く評価した。その頃,ヨーロッパでペスト(黒死病)が大流行し,そのためケンブリッジ大学が1年半にわたって休校になる。その間,彼は故郷に戻って思索に励み,微分積分学,光学,万有引力(universal gravitation)などのアイディアを次々と思いつく。
ケンブリッジに戻った後,ニュートンは1669年にルーカス教授職に就任する。なお,このルーカス教授職に就いた人物はこれまでわずか18名で,17代目のルーカス教授職はスティーブン・ホーキング博士である。
ニュートンが創始した古典力学は,自然科学,工学の基礎となるものであり,もちろん制御工学にも大きな影響を与えた。
# 写真は,トリニティーコレッジの礼拝堂にあるニュートンの像(左)とトリニティコレッジの庭にあるニュートンのリンゴの木(右)
# ケンブリッジに滞在していたとき,暇に任せて毎週「ケンブリッジだより」という雑文を書いていた。そこでも2003年9月28日にニュートンについて書いている(“No.17 Isaac Newton” 参照)。