「制御工学の基礎」の第12章のコラムです。
【12章のコラム】 サーボ機構
サーボ機構は,ファルコ(Jean Farcot,フランス)が1868年に「サーボモータ」という用語を用いたことに始まる。彼は,船の操舵(舵取り)機構としてサーボモータを利用することを提案し,1872年にはフランス海軍の小型船に彼のサーボモータが使われた。
その後,20世紀に入り,船から航空機の時代になると,それに伴って航空機用サーボ機構が精力的に研究された。1934年には,ハンツェン(Harold Hanzen,米)がサーボ機構の原理と高性能サーボ機構の設計に関する2編の論文を発表した。当時 MIT で計算機の設計を行っていたウィナーらが高精度な追従装置を必要としていたことが,ハンツェンの研究の背景にあった。
1930年代後半から世界中が第二次世界大戦に巻き込まれていったが,サーボ機構の研究開発もこの戦争とは切り離せず,レーダと高射砲の結合によるサーボ機構の研究は,制御工学の発展に重要な影響を与えた。
# 写真は,ファルコが開発し,1867年のパリ万博に出展された水平蒸気機関