廣田幸嗣氏(「バッテリマネイジメント工学」の共著者」)からエッセイを送っていただきました。
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SMAP の解散騒動のお蔭で,槇原敬之が作詞作曲した「世界に一つだけの花」が毎日のようにテレビ画面から流れている。
「No.1 じゃなくてもいい Only One でいい・・・」,
仕事をしながら聞き流していると,実に素晴らしい名曲である。
しかし,しばらくするといつもの悪い分析癖が鎌首をもたげて来た。
この歌詞を正確な日本語に訳してみると,
「一番じゃなくてもいい,大勢から取り残されたたった一人でいい」
となりそうです。Only One の前に定冠詞 The が無いため,名詞 One の外周に側壁がなく,One と来ると次は Two,Three … と発想が広がるからです。お金を沢山持っていたが今は僅か1ドルというときに,only one dollar と言うようです。かけがえのない地球を The earth is only one. と訳すと,地球以外の太陽系の惑星が消えたとなります。
アメリカに居たときに良く見たソニーのTVコマーシャルに,”Sony …The one and only,”(ソニー…たった一つの存在) というのがありました。一方ブロードウェイのミュージカル「コーラスライン」(A Chorus Line)のフィナーレ曲は,大勢の中の一人を歌っているので定冠詞のない ”One”。沢山の中の一つなら冠詞がなく,唯一ならば定冠詞 The が必須です。
わが社の Only One Technology と売り込みに来る部品メーカがありましたが,「昔は沢山技術を持っていたが,今はたった一つになりました」のように聞こえました。
原爆の日が近づくと No more Hiroshima のスローガンが目に付きますが,これでは広島は消えろ,広島は原爆で消えたとなるので No more Hiroshimas. が正しいと思っていましたが,長崎はどうなる?
そこで国連のページを見ると ”No more Hiroshimas. No more Nagasakis” でした。さすがというべきか。複数形も難しいですね。