55th IEEE Conference on Decision and Control (CDC2016) が米国のラスベガスで12月12~14日に開かれました。
CDC は毎年12月中旬に行われる IEEE Control Systems Society 主催で,制御理論/応用の研究者にとって最高峰の会議です。今回は 2086件の投稿があり,採択率は 59.5% でした。CDC の採択率は例年 60% 前後の狭き門です。足立研の学生には CDC で採択されるような論文を毎年書いてほしいと願っています。
足立研からは博士課程の川口君(D3)と橋本君(D1)が下記の題目で発表し,井上助教とM2の浦田君も参加しました。
- Takahiro Kawaguchi, Sousaburo Hikono, Ichiro Maruta, and Shuichi Adachi : System identification under Lebesgue sampling and its asymptotic property
- Kazumune Hashimoto, Shuichi Adachi, and Dimos V. Dimarogonas : Self-triggered model predictive control for continuous-time systems: A multiple discretization approach
川口君は Identification のセッションで発表し,丸田さん(京大)が co-chair でした。
橋本君は Event-triggered and self-triggered estimation and output-feedback control で発表し,足立研セミナーで講演したもらったことがあるミュンヘン工科大学の Prof Sandra Hirche が chair でした。共同研究者の Dr Dimos Dimarogonas (KTH) もセッションに来てくれました。
初日は,物情出身で,現在 UC San Diego のドクターコースに在籍し,制御理論を研究している古賀朱門君と,足立研学生と昼食をともにしました。物情学生,世界中で活躍しています!
今回の CDC は参加者が1600名と,米国本土で開催された CDC では過去最多だったそうです。とにかくたくさんの人がいたという印象でした。
その中で,大変お世話になったケンブリッジ大学の Prof Jan Maciejowski と Porf Malcolm Smith とコーヒーブレイクのときに会うことができました。Jan とは6月の ecc2016 のときに会いましたし,Malcolm とも昨年の大阪 CDC のときに会っていますが,3人そろって会ったのは,2004年のケンブリッジ滞在以来初めてのことでした。Jan は67歳で今年ケンブリッジ大学を定年し,Malcolm と私は同い年で,もうすぐ60歳です。光陰矢の如しですが,相変わらず優しいお二人でした。
初日の夜には,山本 裕 名誉教授(京大)などが中心となって,去る7月2日に逝去されたカルマン教授の追悼特別セッションが開かれ,Malcolm も講演しました。彼はカルマンの最後の10年,お付き合いを続けていたそうで,カルマンが亡くなる1か月前に受け取ったカルマンからの e-mail を披露してくれました。その中には,昨年9月にケンブリッジで開かれたワークショップにカルマンは体調が悪いにもかかわらず,出席したいという思いが強く感じられ,感動的な内容でした。また,私がケンブリッジに滞在するとき,Malcolm が手配してくれる素晴らしい Old Guest Room にカルマン夫妻も宿泊していたことを知り,感慨深いものでした。
今回の Bode Lecture は Prof Richard Murry (CALTECH) で,講演題目は “Future Directions in Control: A Look Backwards and Forwards” でした。写真では見にくいですが,赤いバスの前面に Here comes Bode と書かれています。示唆に富む内容でした。
また,Prof John Doyle のチュートリアル “Teaching Control Theory in High School” も興味を誘われる題目でした。その内容の一部は,倒立振子の制御についてであり,私が物情実験で3年生にお話ししている内容とも近いものでした。
最終日の夜には,シルクドソレイユを観劇することもでき,盛りだくさんの CDC でした。
来年の CDC2017 はオーストラリアのメルボルンで 2017年12月12~15日に開かれます。例年と異なり,真夏の CDC です。
論文投稿締め切りは2017年3月20日,もうすぐです。