宇都宮大学足立研 OB の佐野 久さん(Senior Chief Engineer of Honda R&D Americas)からオハイオ通信 [12] が届きました。

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図1 全米今日の最高気温マップ(USA TODAY)

2018年は寒波襲来で始まった。

日本のニュースをネットで見ると、日本でもアメリカ中西部と東部の寒波襲来が話題になっていた。図1に今朝の USA TODAY に掲載されている「全米今日の最高気温マップ」を示す。気温は華氏表示であることに注意する。図を見ると、北極で冷やされたカナダからの寒気が南下し、中西部や東部の最高気温が華氏一桁台の温度であることがわかる。アメリカのニュースでは華氏一桁台を ”single digit” と表現する。参考までに、華氏5度は摂氏マイナス15度である。また、今回の寒波は非常に強いため、例年は暖かいフロリダ半島まで青い色が延びていることがわかる。

図2に今朝の通勤時のダッシュボードを示す。スピードメータの下に 4°F(= -15℃)と表示されている。1月下旬から2月にかけては華氏0度を下回ることもあるから、厳しい寒さは知ってはいるのだが、1月始まりからこの寒さは辛い。

アメリカでは降雪すると、ただちに融雪剤を散布する。日本とは比べものにならない規模と早さである。融雪剤の成分の多くは塩である。図3に融雪剤が散布された後のハイウェイを示す。道路が白く見えるのは塩の成分である。古くは北米の融雪剤がクルマの錆びを生じさせて、多くのクルマメーカを泣かせたが、今はどこのメーカも防錆対策が十分に施してある。

融雪剤や融氷剤を英語では ”de-icer” (ハイフンが入ることが多い)という。実にわかりやすい表現である。また、融雪剤を散布して路面から雪を溶かす作業は ”treatment” を使う。 The road was well-treated in this morning. などと言って朝の会話が始まる。

ちなみに反対を意味する ”de” を使う表現はたくさんある。例えば、defroster(デフロスタ:クルマのウィンドシールドの曇り取り)、debug(デバッグ)、 dehydration(脱水)、demilitarized(非武装)などが挙げられる。

オハイオの人たち(Ohioan)が、春が待ち遠しいという気持ちが非常によくわかる。「は~るよこい、は~やくこい」、そういう気分である。

図2 スピードメーターの一番下の表示が 4°F

図3 融雪剤が散布されたハイウェイ

著者近影(60th workshop, 2017/11/19)