宇都宮大学足立研で学位を取得した佐野 久 博士が JAXA 理事に就任されました!

しかも,ご担当は調布の航空技術部門です。

佐野さんは,1992年に宇都宮大学大学院に博士課程が新設されたとき,最初に入学された方の一人でした。本田技術研究所からの社会人ドクターとして,当時の「粕谷・足立研」に所属しました。佐野さんの研究テーマは,「自動車車室内騒音のアクティブ制御:Active Noise Control(ANC)」であり,音響工学の権威である粕谷英樹教授と,制御が専門の足立助教授が所属する,粕谷・足立研究室とマッティングがとれたからです。

入学されたときは,佐野さんが33歳で,私は34歳でした。私と1歳しか違わず,しかも佐野さんは早稲田大学のご出身でしたから(出身大学はあまり関係ありませんが),慶応出身の私とうまくやっていけるかどうか,非常に不安でした。しかし,佐野さんは人格面,研究面において非常に優れており,それはまったくの杞憂でした。

もちろん私は助教授だったので,指導教員や博士論文の主査は粕谷教授にお願いしました。当時はまだ,30代の助教授が博士課程の学生を指導したり,審査委員会の主査をすることは考えられなかったのです。幸運なことに,粕谷教授も素晴らしい方だったので,実質的には佐野さんは足立研に所属されました。そして,ご自分の研究だけでなく,足立研学生の面倒もよく見てくださいました。当時の ANC の世界の最先端で,論文をたくさん書きました。特に,フィードバック ANC でハウリングをキャンセルする方法が,制御では IMC(内部モデル制御)であることに気づいたときには,佐野さんと二人で感動したことを覚えています。

1990年代初頭,宇都宮大学で足立研を立ち上げたばかりでしたから,佐野さんの存在は非常に大きくて,宇都宮大学足立研の基礎を築いてくださったのは佐野さんであったと言っても過言ではありません。

このあたりについては,佐野さんが日本音響学会誌にエッセイ「ANC と制御工学」を書かれています。

その後,たしか2009年ころに佐野さんはオハイオにある Honda R&D Americas に異動され,渡米されました。
帰国されるタイミングで,足立研セミナーで何回も講演していただきましたし,昨年11月に開いた私の還暦 workshop でも講演していただきました。

佐野さんの JAXA での大活躍を期待しています!

なお,2018年4月1日付の JAXAの役員人事については,こちらをごらんください。

# JAXA 理事長に就任された山川宏先生にも,2009年に足立研セミナーで講演していただきました。