NASA JPLでのインターンについてM2の菊池惟子が報告いたします.

インターンをはじめて早くも2ヶ月が経過しようとしています.晴天続きだったカリフォルニアにも雨季が来て,雨で寒い日も多くなりました.
今週はThanks giving dayの祝日があるため4連休ですが,最終プレゼンに向けて準備を進めているところです.
英語でのプレゼンは未だに非常に緊張しますが,仕事中も研究について英語で考えているせいか,自分のインターン内容の説明や質疑の受け答えでは自然に言葉が出るようになってきたことが実感でき,嬉しく思っています.しかし,他のメンバーの研究の議論からはまだまだ置いて行かれてしまうので,悔しい思いもしています.

日本人は英語での議論では黙ってやり過ごしてしまうことも多いと思いますが,完璧なネイティブのような英語が話せることは求められていないので,どんなに変な英語でも,文法が間違っていても,とにかく発言することが大事だと感じています.とは言え,日本人は古来から「恥の文化」の中で生きていることもあり,実践することは難しいとも思います.
私自身も今回のインターンが初めての海外留学だったので,はじめは英語で発表したりディスカッションをすることに毎日とても緊張し,数人規模の話し合いのためにも話すことを前日にすべて書き起こして覚えていったり,すぐに質問すればよいものを一度家に持ち帰って質問リストを作り次の日に聞く,などとても効率の悪いことをしていました.しかし徐々に,どんなに変な英語を話したとしても,私は日本人ですし,分かってもらえさえすればよいのではないか,という度胸がついてきました.そのような思考に切り替えてからは,気持ちが楽になりましたし,ラボ内でもディスカッション時だけでなく雑談などにも入っていけるようになり,楽しくなりました.私が言ったことが通じないこともありますが,だからといって馬鹿にされることもないですし,知っている単語の中で必死に色々言い換えると,分かってもらえることが多いです.今回の滞在中にこのようにマインドを変えられたことは,私にとって,とても大きな前進であったと感じています.

JPL内でのイベントとしては,様々な分野のプロジェクトごとのポスター発表がありました.

プロジェクトは多岐に及んでいて,惑星科学,天文学などの基礎研究から,探査機,ロケットの設計やシステム,熱制御など実応用のための研究まで,すべて見られないくらいの数のプロジェクトがありました.

 
JPL内の管制室に入ることもできました.かなりフォトジェニックなスポットです.JAXAの管制室は数分程度しか見られなかったのに対し,JPLでは職員であればいつでも入れますし,写真も撮ってよいので,びっくりしました.はやぶさ2との通信も行っていました!無事に帰還するのが待ち遠しいです.


JPL内では様々な分野の研究者が1か月に2回ほど持ち回りで講演をしてくれます.このときは,隕石と地球環境についての講演でした.地球に接近するために監視が必要とされる小惑星は約8500個もあるそうです.


私たちのプロジェクトが扱っているAthenaという名前のローバです.JPLの近くにある大きな公園で,実機の試験を行いました.実装したプログラムが望み通りに動いたときは感動します.画像から地形判別を行うためのディープラーニングのフレームワークを開発中なので,この実験の後は取得した画像の地形をラベリングして教師データを作成するというお仕事もありました‥。同じような砂の写真を一人1000枚ほどラベリングするのですが,その日はゲシュタルト崩壊が起きそうになりました.


同じくインターン生として同じラボで研究しているインド人のHiyaと.手前にあるローバはムーンダイバーで,月にある崖を垂直に下りていくための二輪のローバです.

 
週末にはJoshua Tree National Parkという国立公園にも行ってきました.西部劇に出てきそうな広大な砂漠が広がっていて圧巻でした.

残りわずかとなったインターン生活を有意義に過ごし,帰国後は修論に向けて全力で取り組みたいと思っています.

最後になりましたが,研究室配属において足立研究室に興味を持っている方で,インターンについて質問がある方は,私まで気軽に連絡していただけると嬉しいです.