7月11日~17日に,21st IFAC World Congress が開かれました。
ドイツのベルリンで開催される予定でしたが,COVID-19 の影響で,
1st Virtual IFAC World Congress (IFAC-V 2020)
に変更されました。
IFAC とは International Federation of Automatic Control(国際自動制御連盟)の略で,1957年に誕生した制御の学会です。誕生した3年後の1960年に当時ソビエト連邦のモスクワで,第1回 World Congress が開かれました。その大会で,カルマンがいわゆる現代制御理論(状態空間に基づく数理的な制御系設計法とカルマンフィルタ)を提案したことは,あまりにも有名です。
この World Congress は3年に1回行われており,前回,2017年にフランスのツールーズで行われた大会が第20回の記念大会でした。毎回,3000名以上の参加者が集まる制御のお祭りです。
今回,ベルリンで開催できなかったことは大変残念ですが,この学会の実行委員会は本当によく頑張ったと思います。最大の敬意を表します。論文投稿数は4235件で,採択数は3108件(採択率73%)で,3600名を超える参加者があったと言っていました。
毎日,現地時間の11時くらいからチュートリアルが始まり,13時くらいからプレナリー講演(全員が聞く講演のこと)がありました。ドイツと日本とは時差が7時間なので,夕方の18時くらいから,深夜24時くらいまで,この1週間は毎日,学会を楽しみました。もちろん現地で対面でリアルな講演を聞きたいですが,自宅に居ながらにして,制御の有名人の講演を聞くことができるのは,何とも贅沢なことでした。
昨晩,1週間の学会を締めくくる閉会式が開かれました。
新しい IFAC の会長は淺間一先生(東大)です。IFAC会長とIFAC World Congress の開催地は連動しているので,3年後の2023年7月に開催予定の 22nd IFAC World Congress の開催地は日本(パシフィコ横浜)です。実行委員長は井村先生(東工大)です。
1981年に京都で 8th IFAC World Congress を開催して以来,2度目の日本開催です。そのときの IFAC 会長は椹木義一先生(京大)でした。当時,私は学部4年生だったので,この会議には参加していません。2度目の World Congress を日本で開催したいというのは,我が国の制御関係者の悲願であり,私も少しだけ日本誘致に協力してきました。規模は違いますが,オリンピック誘致と同じようなプロセスがあったのです。
2023年,世の中がどうなっているのか,私はまったくわかりませんが,22nd IFAC World Congress の大成功を楽しみにしています。