ひさしぶりに聴衆の前でお話をしました。

下館和巳先生(東北学院大学)と大須賀公一先生(大阪大学)と私の3名で,「われわれはどこから来て,どこへいくのだろうか」という訳のわからない題目のトークでした。

仙台の東北学院大学サテライトステーションで,18:30~20:00に開催されました。ダイバーシティにとんだ10名の聴衆の方が参加してくださり,質疑応答を交えながら3名でトークしました。やはり聴衆がいると楽しいですね。聴衆の眼や表情を見ながらお話しできるので,それに応じて話の内容を軌道修正することもできます。

「物が心と交わりて事をなす」(南方熊楠),「異分野交流の重要性」,「楽しく,素直に研究しましょう」などがメインテーマでした。

特に,われわれ3人は南方熊楠に凝っています。

「ものづくり」という言葉がわが国の技術の現場ではよく使われており,それに対して最近では「ことづくり」という用語も登場しています。いったい「こころ」はどこにあるの? というのが私の疑問です。

南方の考えでは,純粋なただの「心」だけのものとか,純粋にただの「物」だけのもの,というのは,人間の世界にとっては意味をなさず,あらゆるものが「心」と「物」の交わりあうところに生まれる「事」として,現象している。

中沢新一:南方マンダラ,河出文庫

異分野交流の重要性については,南方はつぎのように語っています。

人間の知性は,互いに異質な不思議どうしが出会ったり,結びあったりしているところだと,関心をひきつけられ,そこに集合している事理の数が多ければ多いほど,よりはやく,またより簡単に,すじみちを認識できるような仕組みになっている。

同上

実際に会って,語り合うことの素晴らしさをあらためてしみじみ実感させられた一日でした。

下館先生をはじめとする現地のみなさん,大変お世話になりました。楽しい時間をありがとうございました。