「制御工学の基礎」の第14章のコラムです。これで最後です。
【14章のコラム】 PID制御
19世紀にPID制御を最初に実装化したのはストドラ(スイス チューリッヒ工科大学)だった。彼はフルビッツの安定判別法で有名なフルビッツの同僚だった。
20世紀に入ってPID制御(3項制御とも呼ばれる)を研究したのは,ミノルスキー(ロシア)だった。彼は米国に移住し,1922年にPID制御に関する理論的な論文を発表し,さらに1920年代後半には船への実装化試験を行ったが,実用化には至らなかった。
PID制御が有用であることは次第に明らかになっていったが,比例・積分・微分の3つの制御パラメータをどのように調整してよいかの指針がないままであった。この問題点の解決とPID制御の実用化に大きくかかわったのが,米国の二つの計測器メーカであるテーラーインスツルメント社とフォックスボローインストルメント社であった。
特に,テイラー社は3つの制御パラメータの調整法に関する研究を行い,その成果は1942年,43年にジーグラーとニコルスにより提案されたジーグラー・ニコルス法(限界感度法とステップ応答法)に結実した。
# 写真は東芝製のPIDコントローラ