京都大学の杉江俊治教授のご退職を記念したシンポジウムがハイアットリージェンシー京都で開かれました。

シンポジウムでは5件の発表がありました。

  • 中村仁彦(東京大学教授):ヒューマノイドロボティクスは人間の情報を扱うテクノロジーです
  • 藤田政之(東京工業大学教授):受動性に基づくロボティクス制御: ネットワーク,ビジョン, 人間
  • 三平満司(東京工業大学教授):劣駆動系と重力の素敵な関係
  • 足立修一(慶應義塾大学教授):システム同定と機械学習の近くて遠い関係
  • そして,

  • 杉江俊治(京都大学名誉教授):システムの不確かさへの挑戦
  • 中村先生とは初対面でしたが,杉江先生,藤田先生,三平先生とは30年来の友人です。楽しく皆さんの講演をお聞きし,私自身は持ち時間の45分を使い切って主に閉ループシステム同定についてお話ししました。会場には150名くらいの聴衆が集まり,制御界のトップランナーである杉江先生への関心の高さが伺えました。

    特に,杉江先生のご講演は制御の本質をシンプルに表現していて,納得でき,共感できることばかりでした。
    それをまとめておきましょう。

    ——————- 制御器について ————————–

  • 必要な周波数帯域でのハイゲインはフィードバック制御の本質:不確かさに対処
  • H∞制御の活用でフィードバック制御器を合理的に設計できる
  • フィードフォワード制御を適切に加えることで,過渡応答の改善も容易
  • —————– モデリングと制御について ——————-

  • まずは モデル化
  • それができないとき,例えば,対象の非線形性が強い大規模複雑系のとき,実験データを使って制御を補正する
  • 特に,このことはAIを制御で使うときの鉄則だと思います。

    シンポジウムの後に開かれた杉江研究室同窓会にも,われわれ講演者は招待され,出席しました。
    卒業生たちの杉江先生への「愛」に満ち溢れ,入念に企画されたすばらしい同窓会で,あっという間に3時間が過ぎました。