宇都宮大学足立研博士第一号の佐野久さんと新しい本を執筆しています。

この本は題目は『騒音・振動の計測と制御 ~理論から自動車開発の実用例まで~』(佐野 久,足立修一)です。おそらく出版されると思っていますが,まだ正式には決定していない宙ぶらりんな状態です。

従来の振動工学,音響工学を制御の視点から見た本で,これまでにない斬新な本になると,著者たちは勝手に考えています。

本を出版するためには,その原稿をさまざまな人に読んでいただき,いろいろなコメントを頂くことが重要です。これまでは優秀な足立研学生にドラフト原稿を読んでもらっていましたが,いまはできません。

そこで,現在,慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の野崎研究室と大森研究室の有志の学生に,新川崎のK2タウンキャンパスで輪講形式で読んでもらっています。そして,2名の著者もできるだけその輪講に参加しています。昨日も台風15号の嵐の中,朝10時から夕方16:30まで輪講を行い,学生たちからたくさんの有益なコメントを頂きました。みんなよく勉強してきてくれて大感謝です。

今回は,この本の一部をちょっとだけ公開します。

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ばねでつるされたおもりを手で動かすという思考実験をしてみよう†.
ゆっくりと上下に手を動かすと,おもりは手の動きといっしょに動く.ばねはほとんど動かない.しだいに手の動きを速くしていくとおもりの振幅がどんどん増えていく.縁日で売られている水ヨーヨーを思い出してもらいたい.水ヨーヨーと同じ感覚で,手の動く速さを調整することにより,大きく振れるポイントを見つけることができる.これが共振現象である.そして,さらに手の動きを速くする.するとおもりが動かず,手とばねだけが動くようになる.これが後述する振動絶縁である.

† 釣りなどで使うおもりと輪ゴムがあれば簡単に実験できるので,ぜひ試してほしい.