6月12日(木)に東大本郷キャンパスで開かれた SICE(計測自動制御学会)第3回生物制御システム調査研究会に参加しました。 3人の講師の方のご発表がありましたが,その中でも稲垣正司先生(国立循環器病センター研究所循環動態機能部)の「循環制御系のモデリング」はとても興味深いご発表でした。
ご講演の前半の部分では,血圧調節において中心的な役割を果たす動脈圧反射系の数学モデルをシステム同定の方法によってモデリングする内容でした。生体システムは本質的に閉ループシステムだと思っていたのですが,それを開ループシステム同定問題に帰着させる方法をはじめとして,システム同定理論をきちんと実問題に適用されている興味深いご発表でした。システム同定理論は電気・機械システムをはじめとしてさまざまな分野で応用されていますが,生体システムにおいても適用されていて,大変うれしく思いました。分野を問わない幅広い応用の可能性が,システム同定(そしてもちろん制御工学)の最大の魅力のひとつです。