廣田・足立編著,出口・小笠原著 「電気自動車の制御システム」の第1版2刷(奥付日 3月20日)が出版されました。
 昨年6月に出版した本なので,9ヶ月で2刷が発行されることになります。これまで売れない本ばかりを書いてきた私にとっては,2刷発行の最速記録です。反響の大きさに驚いています。といっても,教科書採用が期待できない専門書としては比較的売れているというレベルですが...
 「電気自動車」というキーワードがちょうど時代の流れにあいました。「だれにでもわかる電気自動車」というスタンスではなく,電池やモータ,そして制御工学について理論的にきちんと執筆した本なので,ちょっととっつきにくいですが,多くの人に読んでいただいてうれしく思います。

 本を書くことはとても手間ひまがかかる作業です。しかも,理系の大学人にとっては,本を執筆してもなかなか研究業績として認めてもらえません。これは国内だけの話かと思っていましたが,英国でも同じだと,Multivariable Feedback Design や Predictive Control などを執筆している Prof Jan Maciejowski (Cambridge University) から聞いたことがあります。論文(paper)を書くことのほうが評価されます。
 しかし,その専門分野のことを専門外の人に知ってもらうためには,本を執筆することが一番だと私は思います。よい論文はその分野の人に評価されますが,よい本を書けば,いろいろな分野の人が読んでくれ,研究の幅が一気に広がると信じています。
 本を執筆することはちょっとハードルが高いので,もう少し気軽に専門書を出版できないかと,制御部門の若手・中堅研究者たちと考え始めています。