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和英辞典で巫女を引くとmedia (medium) とある。これは巫女が神と人間の中間に位置するからである。古代日本でも,中を執り持つ中つ臣,中臣氏が神事を司った。中臣鎌足が令外官,つまり特別職の内つ臣に昇進し,さらに藤原朝臣姓を賜わった後も,本系は中臣氏を称して伊勢神宮などの祭事を執り続けた。
中世の欧州でも,ローマ教会(教皇)はキリストと人間の間にいるメディアであった。活版印刷が発明された後も,難解なラテン語で印刷した聖書は教会内にとどまっていた。ルターが聖書を,もとは大衆の言葉を意味するドイツ語に翻訳してから,一般人に開放され宗教改革が急激に進み,教皇に代わって聖書(書物)がメディアの位置を占める。ラジオ放送などが誕生してから,メディアは中間から「媒体」を意味するようになる。
1964 年のマクルーハンのメディア論 Understanding Media: The Extensions of Man では,メディアはコンテンツから離れてそれ自身がメッセージ性を持つこと,人間の拡張であることが提起された。ラジオやテレビは人間の耳と目を,クルマは脚を拡張するメディアであるとされた。単なる思いつきに過ぎないとの酷評もあったが,斬新な考えであり示唆に富んでいる。
二足歩行ロボットには,人間の代行型と人間の拡張型がある。鉄腕アトムのようなヒューマノイドは前者である。鉄人28号のように人が外部にいて遠隔操作するタイプや,ガンダムのように人が搭乗して操作するロボットは後者である。Vehicle で,遠隔操縦車や自在走行車は,人間の機能を拡張する属性を持つロボットであり,メディアであると言えよう。
内燃機関のクルマと較べると電気自動車は,レイアウトの自由度や制御の自由度が桁違いに大きい。このため人間の機能を拡張する新しいメディア商品に進化するポテンシャルがある。
注) exoskeleton:外骨格,shells