Amazon.comで「制御理論」というキーワードで検索すると334冊の本がヒットする(2006.12.16現在)。制御を勉強しようとする人は,いったいどの本を読んでよいか戸惑うほど,制御に関する本は多く発行されている。今日は,制御工学に関するお薦めの本を紹介しよう(足立)。

まず,制御に関する数少ない縦書きの本である
 [1] 木村英紀:制御工学の考え方,ブルーバックス,講談社,880円(2002)
は一読の価値がある。制御の考え方から制御の応用まで,わが国の制御理論の第一人者が平易に解説した本である

つぎに,大学1年生レベルを対象とした制御の入門書として,
 [2] 大須賀公一・足立修一:システム制御へのアプローチ,コロナ社,2400円(1999)
がある。これは私自身が執筆した本なので強く薦めることはできないが,本屋で立ち読みするくらいの価値はある。

システム制御へのアプローチ

大学の制御工学の授業を受講後,さらに進んだ部分を勉強したい方には,
 [3] 木村英紀:制御理論講義,臨時別冊・数理科学 SGCライブラリ40,サイエンス社,1886円(2005)
がお薦めである。詳細な記述はないが,制御理論のさまざまな重要なテーマについて簡潔にまとめられている。

最新の制御に関する辞書的なガイドブックとしては,
 [4] 日本機械学会編:機械工学便覧 デザイン編 β6 制御システム,丸善,3800円(2006)
がよい。わが国の代表的な制御理論の研究者により執筆されたもので,内容が豊富である。

制御に関する洋書は多数発行されており,しかも良書が多いが,その中でも,
 [5] Gene F. Franklin, J. David Powell and Abbas Emami-Naeini : Feedback Control of Dynamic Systems, Prentice Hall (5th edition), 11557円 (2005)
は定評がある。900ページを超える大著であるが,チャレンジする価値はある。